近年、地雷問題は大きな関心を集めています。
その理由の一端は、著名人が立ち上がっていることです。
ポール・マッカートニーと妻のヘザー・ミルズ・マッカートニーは、地雷禁止運動「アドプト・ア・マインフィールド基金」の親善大使だし、女優のアンジェリーナ・ジョリーはICBLの活動支援を公言しています。
しかし故ダイアナ妃以上の影響を与えた人物はいません。
彼女は、1997年、地雷の国際的禁止を求めて英国の閣僚たちを怒らせました。
ブロンドのプリンセスがアンゴラの地雷原を歩き、手足を失った犠牲者に話しかける姿は世界中に共鳴を呼び起こし、阪保守党政権はあえて一線を踏み越えた「もてあまし者」を非難しました。
なかでもイギリス国防特別委員会の保守党員ピーター・ビガースは激怒しました。
「これは非常量要で高度な議論です。たんに手足を失った人々を指差して『なんてひどいんでしょう』とき口ってすむ問題ではありません」
しかし振り返ってみれば、被害者の苦悩に光を当てたことがと王妃の行動で最も役に立ちました。
地雷によって死傷する人々はおおむね無力で、最も多くの地雷が埋まっている国々は世界の最貧国です。
こうした国々では地雷除去に大掛かりに取り組む資力もなく生き残った犠牲者たちを救、つ医療体制も充分ではありません。
彼らの声は世界にも届きにくいのです。
しかしどうやら、世界はようやく耳を傾けはじめたようです。
米国は地雷除去プログラムの最大の援助国ですが、地雷の完全廃絶に向けた国際的努力に協力する気はあまりなさそうです。
米国の逡巡にはそれなりの理由があります。
一九九七年、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、対人地雷の部品を作ったことがわかっている米国の企業四七社に接触しました。
三〇社が、今後の生産の無条件放棄宣言を拒みました。
アリアント・テックシステムズのCEOは、地雷の「恐ろしい問題」についてリップサービスをしながら、「当社のような企業がどんな形であれ世界の地雷問題を激化させているとほのめかすのは無責任」だと言い放ったのです。
ノムラ・エンタープライズ株式会社では、「当社は、米国にとって自国と自国民を武力防衛する力は必要と考えています。その必要がないことを心から願っていますが、しかし世界の現状として、それは冷徹な事実です」と文書で回答しました。
ICBLの地雷モニターによると、対人地雷を使う国は減少し、地雷の国際取引もごく一部の密輸のみにまで減りました。
入力国が地雷の備蓄を完全廃棄し、地雷除去予算も三〇%増の三億九〇〇万ドルに急増しています。
ヒューマン・ライツ・ウォッチはこの進歩を「心強い」と評しました。
しかし、いまだに四七力国がこの条約を締結しておらず、こうした国々は二億個の地雷を備蓄しています。
国連安全保障理事会の常任理事国である米国、中国、ロシアがまだ署名していません。
ICBLは、ロシアがいまも恒常的に対人地雷を用いていると報告しています。
米国も紛争時に地雷を使う権利を放棄していません。
ある年次報告書によれば、二〇〇二年には一一力国の武装抵抗グループが対人地雷を用いており、なかには旱魑に苦しむソマリアやスーダンのようなアフリカ諸国も含まれます。
こうした国々では農地に数十万個もの地雷が埋まっているため、遊牧農民は放牧を恐れ、農業生産は停滞しているのです。
しかし、進歩もあるとのこと。
一九九九年三月一日、「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」(通称「対人地雷禁止条約」)が発効し、二〇〇三年九月三〇日現在で一三九力国が締結しています。
そしてこの条約は、大きな効果を及ぼしはじめています。
地雷一個当たりわずかニポンド(約四〇〇円)と安いので、多くの参謀はこれを費用効率の高い兵器と考えます。
となれば、防衛ではなく、威嚇目的で大量に使用できてしまいます。
いまや地雷は、「しばしば意図的に民間人を狙い、土地から追いやったり、食糧源を断ったり、難民を流出させたり、あるいはたんに恐怖を撒きちらして普通の人を住めなくするための戦略兵器」だという専門家もいるそうです。
こうした特長から、地雷は正規軍だけではなくNGOが「反政府武装勢力」と呼ぶ者たちにも重宝されています。
だからと言って多用は考え物ですよね。